2026.04.10·佐藤 雅之

旬の山菜、その時季だけの味わい方

旬の食材季節山菜
旬の山菜、その時季だけの味わい方

四月、恵比寿のお店に伊豆・天城と信州・開田高原から、その週に採れたばかりの山菜が届きます。蕗の薹、こごみ、たらの芽、行者にんにく、コシアブラ。春の山が一瞬だけ見せるこの表情は、冷凍や栽培物では到底再現できない、ほんの二、三週間のごちそうです。

山菜の扱いで最も気をつけているのは『アクをどこまで抜くか』という一点です。抜きすぎると山菜の個性が失われ、ただの葉っぱに近づいてしまう。和楽では、蕗の薹は塩水に五分だけくぐらせ、こごみは湯にさっと八秒、たらの芽は洗うだけで衣をつけて揚げます。素材の持つ野趣を料理の骨格として残しながら、食べやすく仕立てるのが私たちの流儀です。

今年とくにおすすめしたいのは、開田高原の『コシアブラの白和え』。細かく刻んだコシアブラを、甘みのある飛騨・白川郷の豆腐で和え、白胡麻と少量の白味噌でまとめます。春の苦味と、豆腐の滑らかさ、胡麻の香ばしさが口の中で重なる。これを信州・真澄の純米大吟醸と合わせるのが、私のこの季節の小さな楽しみです。

カウンターで召し上がっていただく際、産地や生産者さんの話もぜひお尋ねください。食材の背景を知ってからいただく一口は、きっと記憶に長く残るはずです。