2026.03.28·藤田 さくら
日本酒と懐石の合わせ方 — 季節で変わるペアリング
日本酒ペアリング季節
ワインのペアリングに比べ、日本酒のペアリングはまだ広く知られていない領域かもしれません。しかしコースの中で、料理ごとに温度や香りの違うお酒が静かに添えられていく体験は、いちど味わうと忘れられないものです。和楽では全国の蔵元を巡り、季節ごとに十種前後の地酒を用意しています。
春のコースでは、先付の蛍烏賊と菜の花には、福井・黒龍の吟醸を冷やで。青菜のほろ苦さを、少しだけ含みのある甘みで受け止めます。お造りの明石の鯛には、秋田・新政のColors Ecru。白濁した舌触りが、脂の乗った鯛の身と重なり、後口をすっきりと切ります。
夏は鱧を炙り焼きにして、京都・玉川の『Ice Breaker』をロックで。揮発する香りが夏の暑さを切るような感覚です。秋の松茸の土瓶蒸しには、広島・賀茂金秀の秋あがりを45度の燗で。米の甘みが松茸の香りと一緒に立ち上がります。冬の蟹には、兵庫・田中農場のレマコムで低温管理された純米大吟醸を。海の旨みと米の旨みが溶け合います。
ペアリングは『合う』という正解を当てに行くゲームではなく、『料理とお酒が生む第三の味わい』を探す旅です。カウンター越しに、その日の気分やお好みを伺いながら、一杯ずつお選びいたします。ぜひソムリエ席にお座りください。